HISとは

協働する医療を目指して

私たちは、病院・診療所などその医療関連が、サービス利用者の立場に立ったヘルスケア・マネジメントを実現するためには、 3つの視点が不可欠であると考えます。

Hospitality Mind(他律基準)
社会の多様な欲望を受け容れる
Identity Management(自律基準)
主体的で独自の理念に育まれる
System Strategy(公律基準)
そのビジョンと仕組みを創造する

例えば外来の待ち時間は、これを短縮するためには、診察時間が少なくなります。それではちゃんとした診察ができなくなります。
つまりホスピタリティを考えるとアイデンティティが犠牲になり、アイデンティティでいくとホスピタリティが成り立たなくなる。 そこで必要なことは、その組織や仕組みを考え、理解を共有することでバランスのある問題解決を行う。
そのような現場を統合的に創出しようとするのがHIS思考というわけです。

なぜHISなのか

組織とは、機能を人に割り振りその組み合わせによって一定の成果を期待する仕組みである。 しかし実際に仕事をするのは組織機能ではなく、最小単位の個人であり、その有機的な結びつきによって仕事の質が維持される。 つまり成員がその場その時の対応をどう認識するか、またはその持続的関係が最適なものかどうかが重要である。
強い組織では、個人とその関係(つながり)の質によって成果が引き出される。この質を決定づけるのは、 他意・他力を受け入れようとするホスピタリティ・マインドと、社会に対して、自らの役割を明らかにし自律するアイデンティティである。 個人には組織への役割や使命感が、組織には社会への役割や責任感が一貫して感じられることが大切。 これは「言行一致」あるいは見た目(認識一致)による信頼の醸成ということができる。
しかし、これが組織として期待される方向に向かうには、社会に対して組織の関係性を統治するに相応しい仕組みや規範が欠かせない。 そこにもう一つの視点として、システム思考が求められるのである。

HとIは、実は一体のもの、コインの裏表、凹凸、雄雌、陰陽、プラスマイナス、自他などと同じように、同じでありながら性質、概念が反対の関係である。 その時の出方や見方によっていずれかが着目される。 Sは、その関係を調整し活用する理性、仕組みである。 それらによって織りなされる理念やビジョンは経営中心的であり、イメージ(見られ方)は他者中心的。 文化風土(スタイル)は組織や関係中心的な視点と考えるとわかりやすい。

HIS導入の目的(期待と効果)

目 的

地域での知覚優位性を確立し、変化する経営環境に適応する利用者や職員から心底の信頼を構築するための基盤作り。

効 果

良質なイメージの創出による効果

  • 診療圏での優位体制の確立と他院との差別化
  • 病院組織のモラルアップと院内の活性化
  • 良質なスタッフの獲得・促進
  • 地域社会からの好意好感、信頼の醸成
  • マスコミ・金融などの各界からの注目度の向上

標準化、統一化による効果

  • コミュニケーションの効率化、繰り返し効果
  • アイテムのシンボル化、広報効果
  • 知名度、イメージの浸透、蓄積による効果
  • トータルランニングコストの低減

HISの基本的考え方

実践知、まず行動することを重んじる
足下の現象や目に見えるものから考え始める
すべての存在は「ユニークである」と考える
組織力は「個人の関係」にあると考える
信頼は、造るのではなく「生まれる」と考える
仕事は定型でなく、目の前の「改善の連続」と考える
成果は、効率だけでなく「効果」を評価する
つねに目的はなにか、その展開はと自問する

行動する3つのステップ

理念など組織の価値観は、もっと深く個々の人間の性格や能力の差異に着目して、複合的かつ多面的な判断が必要

Hospitality 経営理念体系を再生し浸透を図る

積極的に他者を受け容れ、関係性を生み出そうとする価値観、使命感で、義務感に偏りがちなサービス要員には不可欠の精神性。 上下関係が薄らぎ自律分散型組織に期待がかかるこれから、成員の「心からの気遣い」にはいっそうの理解が求められる。

Identity 社会(他者)からの認識(見られ方)を明確にする

自分(組織)が思う自分と、他人(社会)が認識する自分の一致。 組織内の関係性を統治する共感的価値観、一体感、存在感。外面的には人を惹きつける魅力、内面的には生きがいや自信につながる。 同一性、存在証明、主体性、独自性などともいわれる。

System 改革の志を集め組織化する

組織は、共同目的に向かって成果あげ結果を出すためのツールである。 そこに発揮される人の行為が無駄なく効果をあげるには、他者を受け入れようとするHospitalityマインドと自らを明らかにし 自律しようとするIdentityを調整していく理性や仕組みが欠かせない。ものごとの成り立ち、すじみち、つながり、ソフトウエア。

理念とは何か

理は、肌理(きめ)または木理(きめ)のことで、本来、「きめこまかさ」を表す。 念は、思い続ける心、つまり強い意志や信念のことである。 したがって理念とは、細部や表層にの質にまでこだわる精神性とその自己表現であるということができる。

その理念が理念として機能するには、シンボルと組織文化との連動することが欠かせない。
理念はシンボルによって無言の力を得て組織文化に融合する

アイデンティティとは、長年にわたり固まりついている考えや認識を、切り捨てて搾りきって最後に残る独自性などではなく、 むしろ、より人間の多様なあり方や価値観を受け入れ束ねていった結果、そこに新しく自覚した変えようのない自分の感覚であるといえる。

人も組織も同じように「生きた存在」であり続けるためには、いままで培われた多くの知恵とともに、 多様な人や社会との関わりがなくてはならない。 情報化とボーダーレスの時代を迎えて兎角、自己を見失いがちな現代にあって、 この当たり前の原理に立ち返り、より人間的なつながりを見いだそうとするのがHIS思考である。