病院広報専門指導員(SD)とは

病院広報専門指導員とは、医療とコミュニケーションについて深い知識や経験を持って、組織や集団の利益の問題を考える人です。

「利益?それならみんな考えているよ」ということになれば、それはそれで結構なことです。しかし、その多くは仕事を通して得た経済的利益でしょう。さまざまなプラスを生みだすためにみんな頑張っているのですが、金銭だけでなく、相手に喜ばれたり元気づけたり、というプラスを与えるケースも多々あるように思うのです。

広報の基本は、「情報を伝える」ことには違いありません。深くそして広く、社会や組織に情報を伝えるチカラが広報の本質です。しかし難しいのは、対象となる人や組織は一定ではない、根底にある考え方はもちろん、それぞれの情報を受け取る能力、環境などに違いがあるということです。経験的に知っている知識もあるし、学問的に学んだ上での理解もあります。また、身を置く社会や人間関係による価値観の違いもあります。

つまり、あることを伝えようとすれば、伝える相手のことをよく知っていることやその相手の受け皿となる理解力に配慮することが重要になります。

また、よりよいコミュニケーションでは、言葉によるだけでなく、目に見えるモノや事象にまつわる情報を活用することも必要です。相手に対して印象を強調し表現することはもちろん、発信者の行動に現れる僅かな変化・動態から、そこに現れる意味や概念を読み取っていくという非言語のコミュニケーションです。このような高度な戦略マネジメントを理解し精通していくことも、質の高い交流を実現する必要条件となります。これらのレベルアップには、知識の積み上げよりも、身を置く場と時による直感的思考を活用することが欠かせないでしょう。

組織は人です。これらの広報を生み出し、元気に行動するのはそのまま「人」であり、その人の繋がりと関わり合いの健康度です。決してサイトや広報誌が広報をしてくれるわけではありません。みんなが価値観を共有して、言語・非言語のコミュニケーションを駆使して社会にその必要度を伝えることです。もちろん得心のいくことを発信しなければ、聞いてもらえません。その話の核心は、医療の場合なら専門職が“売れる製品・サービス“にすることが必要です。おもてなしは最小でポイントを押さえるだけでいいのです。何が売り物か、そのシンプルな共有が、わかりやすい社会貢献になるのです。