病院広報・情報公開レベル評価事業「はとはあと」
すべての医療施設の皆さまへ
いうまでもなく、正直でウソがないことは大事なことです。ウソやいい分けのない社会はどんなに快適でしょうか。
何もいわないで疑われないように振る舞うより、いつも正直・誠実でいることが必要な社会になりました。
社会も医療も、さまざまなコトは言葉で出来ています。どんなに素晴らしいコトであっても、その素晴らしさを伝える言葉を見つけて表わさないかぎり、何もなかったコトにも、曲がったモノにもなりかねません。また、情報を出さないことは結果を出さない、責任を取らないことにもなりかねません。
このような情報社会を考えると、組織は「ウソがない」だけではいけないのです。ウソがないコトをハッキリ表わすとともに、継続的な広報活動を通じて組織の透明性を高めていくことが重要です。
古くから「言行一致」という言葉があります。成果や結果が認められないのに、情報だけと言うのではイメージダウンになります。結果や成果を伴ってこそ信頼や好感が寄せられます。ここに広報の真価があるのです。
このような経営戦略をブランディングといいますが、そうでなくても、社会との良好な関係を維持し、円滑な事業活動を進めるには、あらゆる情報源の評価と時代にあう見直し作戦が必要になります。
「はとはあと」評価では、参加施設とともに、社会に向けて真摯な姿勢を貫く医療施設の医療の利用情報を中心とした”見える化”を進め、住民の共感を勝ち取りたいと考えます。
「はとはあと」評価とは
医療人の社会的責任として、医療の質の向上のために日々懸命な努力が続けられています。しかし、その膨大な努力が実感をもって認知されていくには、専門家からの目線だけでなく、広く国民に理解されるよう、わかりやすくシッカリと説明していく必要があります。そのためには、各施設が提供する情報の質と量を適切なものにしなければなりません。情報の質とは、利用者がそのとき必要とする信頼できる情報であり、量とは必要なときに手の届く誠実な情報ではないでしょうか。
市民や利用者あるいはメディアとのギャップをつくらない情報の提供体制は、医療界あげての課題であり、なにがしかの基準レベルを設けることが急務といえます。
「はとはあと」評価は、NPOや市民の目線から、より適切で健全な医療の利用情報のあり方を評価し、今後の改善に資する新しい活動です。
1.どのようなコトを評価し、何のために審査するのか
広報活動・情報公開の積極性、適切性を評価し、公正で透明性の高い医療提供とそのための情報サービスの向上を支援します。
医療が利用者に正しく理解されるためには、情報の発信側に一定水準の体系的な情報が必要であり、また、旺盛な倫理観や誠実さが求められます。
「はとはあと」はただ評価して返すだけではなく、評価結果を基に、より有益な情報のあり方や広報の手立てを、ともに考えていこうというものです。評価は広報力の向上ひいては施設の信頼と好感を高めるためです。
2.審査対象は、どのような施設か
公的、私的または規模の大小を問わず医療サービスを提供するすべての施設を対象に行います。病院、診療所、健診センター、リハビリセンター、老人保健施設、調剤薬局などを含みます。
将来は、地域特性などを踏まえて地域連携や地域医療そのものの評価をめざします。
3.多様な施設特性に配慮したレベルアップ・ステージ
まずはじめは、すべての施設が通過すべき入口としての「第1ステージ」です。ここでは病院広報の基本項目の積極性についてマーク数よる評価を得ます。
ここで5つのマークの評価を得た施設は、広報の適切性を評価する「第2ステージ」に進級することができ、さらに本格的な広報能力の評価にチャレンジしていただきます。
最後の「第3ステージ」では、施設や地域の特性を見据えた統合的な広報事例(目的・プロセス・成果)を、設定された場所・時間の中で「発表形式」で競い合い、その結果を審査します。最先端の病院広報を会場やネットワークと共有します。
「はとはあと」評価の3つのステージ
ステージ | 評価目標 | 審査方法 |
第1ステージ | 広報活動の積極性 | 主としてメールで申告し、一定の活動を書類により「積極性」審査する |
第2ステージ | 広報活動の適切性 | 主に審査員の訪問により、広報活動の「適切性」をつぶさに評価する |
第3ステージ | 広報活動の戦略性 | 発表と審査員の質疑応答により、広報のプロセスや成果を評価する |
4.「第1ステージ」基本となる審査項目とは、どのようなことか
広報活動・情報公開に欠かせない5つのカテゴリー(理念・伝達・収集・改革・態勢)をいいます。
ひとつのカテゴリーにつきそれぞれ3つの「規定評価項目」と、受診施設で選択していただける2つの「自由評価項目」について審査します。
これは「規定評価項目」に該当しないが、成果を上げていたり、新しいアイデアでチャレンジしている独自の広報活動についても、前向きな評価ができるよう配慮したものです。
第1ステージ:評価5項目
①理念展開 (使命や志を表す活動) | 院外に理念を分かりやすく表出する仕組み・方法を運用し、ロゴマークやカラーなどの理念を強調しているかどうか |
②情報伝達 (伝え共有する活動) | 常に外部社会との共存を意識し、必要な情報を適時・適切に偽りなく、また、分かりやすく伝え、理解を求めているかどうか |
③情報収集 (聴き調べる活動) | 常に社会の要望に耳を傾け、地域・患者・職員ら利害共有者の意見を組織の仕組み(システム)として聴いているかどうか |
④改革改善 (変えていく活動) | 「伝える」「聴く」という双方向の情報交流を重視し、その結果を自己改革と経営の礎にしているかどうか |
⑤態勢構築 (仕組みづくり活動) | 広報力強化(担当育成・PL認定)・委員会・予算・経営トップや他部門との外部機能連携など組織的広報の展開があるかどうか |
5.「第2ステージ」における評価基準とは
「第1ステージ」では、受審施設の、病院広報としての基礎課題がどのような状況であるのかをチェックし、病院広報や情報公開への意欲・関心はあるが、ノウハウや実績がないという多くの施設を意識した評価構成になっています。
しかし、「第2ステージ」ではトップのリーダーシップをはじめ、経営成果と結びつく事例など、より実践的な取り組みを中心に評価してはどうかというアイデアなどを検討中です。審査規定の充実などとともに、23年度内に概要をお伝えできるよう開発を進めています。
なお、この事業の実施に当たり、健康・医療情報、コミュニケーションの専門家である京都大学大学院医学研究科の中山健夫教授をはじめとする評価連絡協議会(仮称)による評価組織の設置を計画しています。
愛称「はとはあと」のマークと由来
地球上にハトは320種類もいるといわれます。世界平和の象徴であるとともに、社会の多様性にも通じているため、「医療・健康情報を運ぶ伝書鳩」としてそこに生まれる思いやりと温かいハートの交流を願って事業のキーイメージとしました。
このマークを医療機関のさまざまなコミュニケーション・アイテムに表示することによって、利用者や市民が「情報提供に熱心な医療機関である」ことを一目でわかってもらうと同時に、地域医療のために黙々と頑張る医療機関の励みにすることで、「はとはあと」をいっそう心豊かなコミュニケーションを実現したいと考えました。